公正証書遺言とは

 遺言にはいくつか種類がありますが、そのうちの一つに、公正証書遺言というものがあります。全国の公証役場には、公証人と呼ばれる裁判官、検事、弁護士、法務事務官など法律専門家の中から、法務大臣の任命を受けた準公務員が勤務しており、公正証書とは、その公証人が作成する公文書にあたります。公正証書遺言とは、公証人によって作成された遺言のことです。

公正証書遺言のメリット

 公正証書遺言を作成するメリットは、公証人という専門家がその作成に関与することで、遺言としての形式に欠けることがないところです。遺言には、署名や作成日付など、必ず備えておくべき形式がいくつかあります。そこに不備があると、遺言書が無効になる場合があります。しかし、公正証書遺言は、専門家たる公証人が作成しておりますので、形式的効力を高く備えており、遺言書としては完成形といえます。

 また、公正証書遺言は改ざんをされることがないため、裁判所における遺言書の検認を要しません。遺言書の検認とは、遺言書の偽造を防ぎ、遺言書の形状を保存する認証手続きです。自筆証書遺言であると、誰かが相続後に遺言書に書き加えたりするリスクがゼロではないので、そういったことのないように、裁判所が形状を確認するのです。しかし、公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されており、改ざんのおそれがないので、検認が不要というわけです。

 遺言書を作成しようという人(遺言者)が、病気などで公証役場へ行くことができない時は、公証人が遺言者のもとへ赴き、公正証書遺言の作成をすることも可能です。
 また、公正証書の原本は、公証役場において保管され、当事者には、謄本や正本といった、いわゆる写しが交付されます。原本が公証役場に保管されていることで、紛失の心配がありません。また、遺言書の改ざんや変造、破損の可能性もありませんので、その点でも安心です。

「証人」が必要

 公正証書遺言の作成には、遺言者のほかに、証人が2人必要です。作成した公正証書遺言は、遺言者、証人2名を前に、公証人が内容を読み上げ、その内容に間違いがなければ、その場にいる4名全員の署名押印がなされ、完成されます。

 このように、公正証書遺言は、安全で確実な遺言書作成の方法といえます。